遺産の分割とは


遺産分割とは、被相続人が残した相続遺産を、共同相続人がどのように分配するかを決定するための手続きのことです。
相続人が複数いる場合、遺産の分割は、被相続人の遺言がある場合はそれにしたがって行ないます。遺言に指定のないものについては、共同相続人全員で協議をし、その協議の結果に基づいて遺産を分割します。共同相続人の間で利害が対立し、分割ができない場合は、家庭裁判所の調停による遺産分割が行われることになります。
この調停でも遺産の分割ができないときは、家庭裁判所に遺産分割の審判を請求することになります。遺産分割が終了すると、相続開始のときにさかのぼって、それぞれに分割された権利・義務を承諾したことになります。
この財産分割で問題になるのが、被相続人がなくなった時点で、まだ生まれていない胎児がいる場合です。たとえ胎児であっても、被相続人の子である以上、生きて生まれることによって、相続人となることができます。ですから、遺産分割の際は、あらかじめこの胎児の分も含めて分割しておくか、胎児の分を除いて生まれた段階で新たに分割しなおすか、判断に迷うところです。したがって、それほど長い期間ではありませんので、胎児が生まれるまで遺産分割は待つべきという見解も出てきます。
また、被相続人の財産が、相続人にそのまま継承されれば問題はありませんが、場合によっては、法定相続人の法定相続分が侵害されることもあります。たとえば、相続人でない第三者が相続財産を侵害するという場合や、共同相続人の一部が他の相続人の相続分を侵害するような場合です。もちろん侵害しているといっても故意に侵害しているとは限りません。後に強制認知によって子供がいることが明らかになる場合など、相続人の存在を知らなかったために起こることもあります。また、相続人としての資格を奪われた人が相続をしていることもあります。このような場合には、第三者であっても相続人に見えてしまうことから、表見代理人と呼ばれています。
表見代理人や相続を侵害する第三者に対して、自らの財産を回復しようというのが相続回復請求権です。この権利は、訴訟を起こさないで、直接相手方に主張することもできますが、実際には、訴訟によって権利を回復することが多くなっています。相続回復権は、相続権を侵害された事実を知ったときから5年たつと時効により消滅してしまいます。さらに、相続権を侵害された事実を知らない場合でも、相続開始のときから20年間相続回復請求がなければ消滅することになりますので、早めに行使するようにしましょう。
法定相続人とされている者であっても、必ず相続人となれるわけではありません。被相続人の財産を相続させるのが不適当である場合には、その相続人に財産を相続させない、という制度があります。相続欠格となる事由として、故意に被相続人や先順位にある相続人を死亡させたとき、または死亡させようとして刑に処された場合です。これは、推定相続人が、自分に有利になるように相続を早めたり、相続分が多くなるようにする行為ですので、相続人となることは不適当であるというものです。
さらに、被相続人が殺害されたことを知っているにもかかわらず、告訴や告発をしなかった場合も、相続欠格事由になります。また、詐欺や脅迫によって、被相続人に遺言をさせたり、反対にさせなかった場合や、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した者もこの相続欠格事由になります。相続欠格事由により相続の資格を失った場合でも、その子が代襲相続人となることができます。
もう一つの制度は、被相続人が生前に、遺留分のある推定相続人を、相続人から除外してしまう排除という方法です。排除は、被相続人の意志によりするものですが、排除するにはそれなりの事由が必要となります。たとえば、推定相続人が被相続人に虐待を加えたり、重大な侮辱をしたり、推定相続人に著しい非行があった場合などです。排除は、被相続人が家庭参番書に請求することによりできますが、遺言によって相続人を排除する意思表示をすることもできます。なお、被相続人はいつでも推定相続人の排除の取消を、家庭裁判所に請求することができます。