質権と抵当権とは


質権とは、債務者が、債権の担保として債務者や物上保証人から引渡しを受けた物や権利を、債務の弁済があるまで留置して債務者にその債務の弁済を心理的に強制し、弁済がない場合には、その物や権利から優先的に弁済を受けることができます(三四二条)。
この質権の設定される対象となる目的物は、動産と不動産、それに債権があります。担保物権の目的物に債権があるのは質権だけです。
動産を目的とする質権を、「動産質」といいます。質屋さんに時計などを預けてお金を借りる場合が、その典型です。動産質権者は、物である動産を自分の手元に留置しておかなければ、自分が質権者であることを第三者に対して主張することはできません(三五二条)また、動産質の場合、物を勝手に使用収益することはできません。
これに対して、不動産を質権の目的とすることを「不動産質」といいます。不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用および収益をすることができます。(三五六条)なお、不動産質権者は、その目的不動産を使用収益することができる代わりに、利息を請求することはできません(三五八条)。
また、質権は物だけではなく、財産権を目的として設定することもできます(権利質)。債権を質物とした場合には、質権者は自分で債務者からその債権を取り立てることができます(三六六条一項)。
質権が成立するための要件には、目的物を質権者のもとに移転しなければなりません。ただし、不動産質権の場合は、不動産質権を設定した旨が登記に記載されるので、不動産の占有を質権設定者に戻したとしても、不動産質権の効力には影響を及ぼさないとされているのです。
【抵当権】
抵当権は、債務者または第三者である物上保証人が提供した目的物を取り上げないで、登記をすることにより、その優先的な価値を確保する担保物権です。
不動産に関して設定される担保物権は、この抵当権あるいは根抵当権であるのが一般的です。抵当権は、特定の債権を保全するために設定される担保物権で、その債権が消滅すれば抵当権は無効となります。単に登記が残っていたとしても何ら効力はありません。
根抵当権は、不特定多数の債権を一括して担保するものです。ある時点で被担保債者がすべて消滅しても根抵当権それ自体は有効に存続し、断続的な取引関係にある当事者間の担保権の設定にはとても便利な担保物権であるといえます。抵当権と根抵当権の違いは、抵当権は現実に存在する確率額を前提として成立するのに対し、根抵当権は被担保債権の範囲と確定期日、極度額を決めておけば、最初に債権がなくても有効になるという点です。