所有権の移転とは


動産や不動産を売却するときには、売主と買主との間で売買契約を締結することになります。
不動産を例にすると、契約書を作成して売買契約を締結し、契約時点で一割程度の手付金を支払います。そして、土地や建物を引き渡して登記を移転するのと引換に、残金を支払い清算するのが一般的な売買のやり方です。
では、その不動産を買った人は、いつこの不動産を取得することになるのでしょうか。
物件法の原則からいうと、意思主義といって、売買契約が成立したときに不動産の所有権が移転することになります(一七六条)。しかし、それではどうも実態に合わないというのが、売買契約者の実感でしょう。というのは、一割程度の手付金しか支払っていない段階で、所有権が買主に移ってしまうというのは納得しにくいからです。
そこで、売主・買主双方の合意により、民法の意思主義の原則を、実態に合うように売買契約書のなかで修正します。たとえば、不動産を引渡し、所有権移転登記をするのと引き換えに残金の決済をするのですが、このときに所有権が移転するという特約をするのです。そのほうが、両当事者にとって理解がしやすくなるでしょう。このように民法の意思主義の原則は、実際の取引きのうえでは、むしろ例外となっているのが現状です。